セミナーの風景

インプラントの歴史は1952年スエーデンのブローネマルクが骨とチタンの融合を発見したことに端を発しています。
その後研究が繰り返され1965年人体への応用が開始されました。
データーの蓄積や信頼性を高めていき1980年代には広く世界から評価されるようになり、今では歯を失った人がそれを補う方法の一つとして採用されています。

日本では信頼性の高いインプラントが導入されたのは1983年日本初のブローネマルクシステムによる治療で、その後も研究が進められ国産のインプラントも開発されており、その治療法は日々進化し続けています。
現在のインプラントは科学的根拠に基づき高い信頼性を保っており、インプラント製品そのものの完成度はかなり高いものになっています。
コンピュータを使用しCT画像をもとに綿密な治療計画をたて3Dのノーベルガイドと呼ばれる型を作ります。
治療時にはそれを歯茎に被せ歯茎を切開することなくインプラントを埋入れるという正確な治療法も最近注目を集めており、より安全な治療が可能となっています。

治療においては使用する製品の品質とそれを扱う医師の技術が関係してくるのは言うまでもありません。
インプラント治療の分野においては公益社団法人日本口腔インプラント学会があり、広い知識と高度な専門技術を有する歯科医師の養成を行い専門医の資格を設けています。

全国には約7万件の歯科医院があり、インプラント治療は歯科医であれば誰が実施しても違法ではありません。
しかし高度な専門知識や技術を必要とするインプラント治療は専門医制度を設けて質の高い治療を目指しています。
その資格を得るには学会の所属期間、学会・研究会などへの出席、教育講座の受講、症例の学会発表、学会誌への論文掲載、一定数の症例の提出、試験等が必要となります。
専門医制度は公的なものから民間のものまでいくつか存在するのでどの学会の専門医かをみることも大切です。

一般的にインプラント治療は歯茎を切開したり、ドリルで歯槽骨に孔をあけるという作業となります。
歯科治療に使用する局所麻酔を使用し、ほとんど痛みなく手術を受けることができます。
しかし手術に対する恐怖心の強い人やストレスを感じる人に対しては無痛治療も行われています。
この多くは静脈内沈静と呼ばれる方法で、点滴で麻酔をします。
点滴なので量を調節することで麻酔の深さを調整することができます。
うとうとしている間に治療が終了するということになります。
全身麻酔ではないので終了後少し休めば帰宅することもできます。
無痛治療を希望する人は事前に相談しておくとよいでしょう。

インプラント治療の後遺症のリスクは?

上記のようにかなり安全な治療法が確立されているインプラント治療ですが、残念ながら100パーセントというわけにはいきません。
ノーベルガイドの出現によって医師の判断のみに頼らない正確な手術ができるようになり、埋込に失敗することが少なくなりました。
CT、コンピュータを駆使することで可能になってきたわけです。
それでも予期せぬトラブルは生じてきます。

まず気をつけなければならないことは持病のある人は正確に状況を説明し、必要ならば主治医の意見を求めましょう。
糖尿病や高血圧の人、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を持っている人などです。
骨粗鬆症の治療薬は一時中止する必要があります。
また血液をかたまりにくくする薬を常用している人も同様です。
妊娠中の人、顎骨量の極端に少ない人、ヘビースモーカーなど治療を受けられない場合もあります。

インプラントは素晴らしい治療法ではありますが、必ずしも完璧に行えるとは言えません。
それは患者さん自身が正しい報告をしなかったり、検査の不備であったり、不適切な手術、医師の経験不足、予期せぬ偶発的な原因による後遺症の報告はあります。

治療は外科的手術を伴うので術後の腫れや痛み、内出血等はありますが、これは時間の経過とともに消失していきます。
術後にインプラントが動揺したり、抜け落ちたりというトラブルもあります。
骨質が悪かったり、不正な力が加わることでインプラントが脱落するということが希にあります。
また3~6か月という結合するための時間を経過しても結合しない場合も存在しそれはさらに時間をかけることで解決する場合が多いです。

インプラントと骨が結合した後、上部構造を装着してから歯が動揺し脱落する場合、インプラントの植立本数が少なく負担が過重になり動く場合や埋入の失敗、歯ぎしりをする場合などです。
歯ぎしりに対してはナイトガードを装着します。

また、インプラント治療後の最も大切なことはインプラント周辺を清潔に保つことです。
骨とインプラントは頑丈に結合しますが、歯茎との接合力は弱く、そこに食べ物などが残ったままになっていると炎症を起こし、インプラント歯周炎を起こします。
最悪の場合脱落するという結果になります、実はインプラント治療における最も大切なことは定期的な受診による専門医のケアと指導を受けて実践するセルフケアなのです。

その他ドリルによる舌下動脈、歯槽動脈の損傷、鼻腔及び上顎洞への穿孔などのトラブルがまれに生じています。
また神経を傷つけることによるしびれ等という報告もあります。